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三谷龍二 | 展示会に寄せて

NYの皆さん、こんにちは。

Covid-19の影響で、これまで長く、辛い日々を送られてきたと思います。それでもようやく、ブロードウエイの劇場が再開し始めたようですし、レストランでの飲食も可能になり、少しずつ普段の生活が戻りつつあるようで、嬉しく思います。

この間、皆さん(僕たちも)家で過ごす時間が多かったと思います。でもそのことはマイナスのことばかりではなく、家族の絆を再確認できたり、家で楽しく過ごす方法を見つけたり、自分のことを見直す機会になったりと、プラスのことも多かったのではないでしょうか。

家にいると料理をしたり、家を修繕したり、部屋を整えたり、手を動かす時間がとても増えます。昔の人はみんなそんな暮らしをしていたはずですが、現在の僕たちは機械による大量生産品がたくさんあるので、私たちはただお金を払って消費するだけの暮らしになっていました。でも、便利さと引き換えに地球温暖化、異常気象、そしてCovid-19など多くの問題が起こり、自分たちの暮らし方を変えなくてはならなくなりました。

人は一人一人が創造的な存在です。手で物を作ることは、頭ほど早く解決はできないけれど、その分、手で物を考えることの喜びを教えてくれます。手で作られたものは、機械のように精密(均質)ではなく、手の跡が残り、不揃いで、ノイズのような変則性があります。でも、人間自体がそうしたものだからでしょうか、どこか温かく、気持ちを安らかにしてくれるように思います。

食器が面白いと思うのは、ただ鑑賞するだけではなく、使うことで、自分もその創造に参加する事ができることです。食器の使い方は自由ですし、時間を経た器は、家族写真のように、自分たちが過ごしたかけがえのない時間を刻み込んでくれます。

手で物を作ること。頭でなく、手や体で考えること。ディスプレー越しではなく具体的に人に会う事が、想像以上に大きな喜びを私たちに与えてくれることを知った今だからこそ、人にしかできない創造的な喜びを、私たちの日常にもっと探していけたらと思います。

今日は展覧会を見にきていただき、どうもありがとうございました。また、この次には、皆さんにお会いできたらと思います。

Images courtesy of Aya Nihei

Written by Ryuji Mitani

Ryuji Mitani

10月 15, 2021

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