「うつわのそれから」展に寄せて
使うためのうつわは、半分は料理のために、食卓に集う人たちが心地よい時間を楽しむために、器が主張し過ぎないようにと思って制作してきました。
人はものを考えたいときには、邪魔されたくないから、一人で部屋に閉じこもりたくなるものです。でも、お腹が空いて、ご飯を食べたいときは、やっぱり一人より、誰かと一緒の方が楽しいものですね。
器作りは、形あるものを作ることですが、形の向こうには、それを使う人や、場があることを忘れないでいたいと思うのです。そのように一人では生きていけない人間という生き物の、日々の暮らしに寄り添うものでありたいと思うのです。
今回はうつわの展示以外に、「うつわのそれから」というタイトルで、もうひとつの展示空間が併設されます。そして、nalatanalataの協力によって、作り手の手を離れた後、家庭やレストランでうつわがどのような「その後」を送っているのだろうか。それを訪ねるような展示もお願いしました。
ものだけではなく、人々とつながることで新たな物語へとが広がっていく。そうしたうつわの世界を、楽しんでいただければ嬉しいです
Images courtesy of Aya Nihei